ギボンアスリートインタビュー 第2弾

2015/6/30

 

大杉 GAPPAI   徹

日本のスラックライン界でただ一人、世界のワールドカップで優勝した男。

その日本人は大杉徹という、岡山出身のスラックラインギーク。

いまでこそスラックラインはスケートボードやスノーボードのように10代から活躍する世界になりつつあるが、世界中でもスラックラインが創世記であった5年以上前からスラックラインを愛した男が世界の頂点に立ってから2年。黎明期を終えようとしているスラックラインのシーンを支えてきた大杉が今何を思うのか?聞いてみた。

地上から十数メートルのライン上でつま先だけで立つ離れ業“コズミックソールフード”に集中する大杉。アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコで行われた“レッドブルベイライン”にて

 

「ほんと、2年ぐらいまえまでは、一日中スラックラインのことばかり考えていました!笑」

こういって話す礼儀正しい見た目もいたって普通の青年が、過去を振り返ってこう語る。

「この5年間ぐらい、ずっと世界中を大会で回ってきて、ほとんどを自分のためにスラックラインをしてきたけど、今はようやく他のことを考えることができるようになったんです。笑」

数年掛けて世界中を回ってきた大杉は今年で30歳。輝かしい戦歴と持ち前のバイタリティで積極的に世界の選手らと交流を深めてきた大杉は今や日本のトップスラックライナーである。今では単独で台湾に呼ばれてデモンストレーションを行ってくるなど、大会以外にも国外にも活躍の場を広げている。

「大学を卒業して、何年か何もやってなかった時期にふと夜にTVを見てたら、楽しそうにラインの上を歩いたり飛び跳ねたりしていて、”これやりたい!”って思ってすぐに通信販売で買って翌日から始めたんです。」

それからは地元岡山の仲間と練習して、スラックラインチーム“ HEYWILD”を結成、東京で開催された第一回の日本オープンに参加してさらにスラックラインにのめりこんでいった。そして大会に出始めたころから大杉はまずトリックに没頭してゆく。

岡山を代表するスラックラインチーム“HEYWILD”初期メンバー。

大杉のおかげか、その名前は全国に知れ渡っている有名チーム。

 

「世界で認められるにはこれまでのトリックじゃみんな一緒になっちゃうし、体操系でもないってことでスラックラインじゃなきゃできないってトリックを考えてましたね。」

数年前までの競技シーンにはまだトリックがそれほどなかった時代に大杉は、今では誰もがやっているフリーフォール(※1)やナスティーチェスト(※2)など世界定番トリックを考案している。

「競技を始めたころ、大会っていうと最後は決まってバックフィリップで、バットやチェストとかまだトリックとしては新しかった。だから誰にでも可能性はありましたね。海外でも本当にトップは5-6人だけが本当にトップなので、いけるんじゃないかってとにかく

技を磨きながら、世界を回りました。」

ビデオ投稿でトリックのNO.1を決める「King of slackline」で優勝を始め、各地での大会でも上位入賞したものの、優勝という勝つことまでには数年かかっている。

「ワールドカップで勝ったときはうれしかったですね。でも2012年のTEVA MOUNTAIN GAMESで特にマイクペイトン(※3)っていうライダーに勝ったときも同じくらいうれしかったですね。当時にしてはスタイルがあるライダーでリスペクトしていたんです。バリエーションも多いし、とにかくかっこよかった人なので。」

20013年、今やレッドブルのライダーとなったアレックス・メイソンを破り、スラックラインのワールドカップで初めて日本人が世界を制したアメリカ・ワシントン州スポークンにて。

世界でスラックラインをリードするライダーたちとのスナップ。

ギボンチームメイトらと、左からフェリックス・カレイラ、大杉、アレックス・メイソン、ヤーン・ローズ。

2014年ドイツワールドカップにて

 

海外での活躍と日本国内の存在感は海外のライダーをも魅了、ついに2012年にはギボンのインターナショナルライダーとして契約、ギボン本社からは一般人からは一生分ともいえるスラックラインを供給され、大会とデモで世界中を奔走した。そんな中で気づいたのが、日本と世界の環境の違いと楽しみ方。

 

「日本は新しいスポーツが出てくるメデイアとかが「これだーっ」っていって偏った取り上げ方をして、みんながそればっかりーフォローしちゃって遊び方が偏っちゃうんですけど、海外はフィールドも豊富だし、取り組み方がカジュアルなんです。日本だとハイラインとかロングラインとかは最初は結構手間もかかるんですけど、彼らはちゃっ、ちゃって、セットして、わーっていうような感じでとにかく楽しもーぜ!って感じなんで、日本でもトリックで行き詰ったら、ロングラインとか、とにかくいろんな楽しみ方を試してみてほしいです。これまで自分もトリックラインの競技に取り組んできたけど、スラックラインはトリックだけじゃなくて、いろんな楽しみ方があるので、みんなにはそれに気づいてほしい。うまいライダーは何やらせても本当にうまいし、自分自身が一番楽しんでいるんです。


アメリカ・コロラド州 モアブでのハイライン風景。 

アメリカでも有数のハイラインスポット“モアブ”。アンディ・ルイスらをはじめ、多くのハイライナーがこのモエブで楽しんでいる。

北米にはこんなロケーションがどこにでも存在する。

 

僕のいう「いろいろな楽しみ方」については、自身が主催するヘイワイルドカップでは、トリックだけでない、さまざまなラインとルールを持ち込んでは楽しんでいて、年々その規模も大きくなってきています。

日本は世界に比べて、ロングラインやハイラインを張る環境がととのっていないので、日本独自のやり方でやってます。ハイラインは都会で、ロングラインはゴルフ場とか河原とか、場所を有効活用しています。笑。みんなには絶対一度は来てもらいたいです。笑。」

 

いつもの練習場所でのサーフラインを楽しむ大杉。大杉にラインのこだわりはすでにない。とにかく、いろんなことが楽しめるのでまずはやってみてほしいという。

 

日本でのハイラインを楽しむ大杉。2015年長野県、小川山で疲れ切ったイベントの後で。

ハイラインは準備も経験も必要で、気軽にやれるものではないが、やる価値がある魅力的なラインのひとつ。

 

公式には決して使えることのないゴルフ場で、ひとときのロングラインを楽しむ大杉。

 

 

これから競技もトリックラインに関しては若い10代が台頭してくるから、そのうえの層が楽しめる種目を考えなきゃいけないとも思っているんです。日本でずっとギボンが行ってきたトリックラインの代表的な大会である「ギボンカップ」も最近では最初から出ているメンバーは体力的につらいって仲間同士では言ってます。笑。JSFed(※4)ではもっとスラックラインの可能性を広げるために新しい種目を取り入れようというアイデアを出しています。正直自分も30歳でだいぶ体力の回復が遅くなっているので、(笑)そろそろ楽しみかたをシフトしようと思っています。もちろんまだまだトリックラインもやるんだけど、違う見せ方を意識したり、できるだけ人と同じことはやらないようにしています。あとはラインに乗ることを楽しんで、もっとスラックラインを認知してもらえるようにいろんなことに挑戦したいと思っています。 ほんとまだまだ終わりなんでないんです。これだけスラックラインやってて、疲れ切っててもラインの上は特別なんです。そんな気分をみんなに伝えていきたいですね。

 

 

※1、フリーフォール(バットバウンスから360横回転して、チェストバウンスまで行うトリックの一つ。競技を始めたライダーが最初に取り組むベーシックなトリックの一つ。

※2、ナスティーチェスト(バットバウンスからラインを手で掴み180回転しながらチェストバウンスに降りるトリック)

※3、マイク・ペイトン(アメリカ) アメリカの黎明期を代表するスラックラインの一人。オールラウンドでありながらもトリックはすべてスタイリッシュに決める数少ないライダーの一人。

※4、JSFed (Japan Slackline Federation) 社団法人 日本スラックライン連盟

 

地元岡山で中学生にスラックラインを教える大杉。学生や子供は吸収がはやくて、教えていて楽しいとのこと。実際、大杉の教え方は無駄がなく、スキルに見合っていて的確。

どんなラインでもリクエストすれば何かしてくれるサービスも忘れない!

 

2011年のギボンジャパンツアーでの一コマ。日本に海外のギボンライダーが来て全国を回る巡業ツアー。多くの出会いがこのツアーからはじまっている。

 

年齢差を超えて、イベントの準備でスラックラックを二人で組み立てるアルゴアクティブ代表の小倉(写真左)とギボン本社の副社長 ヤン・ケーディング。(写真右)

アメリカのスラックライナー、テリーさんの家の庭でハイラインの練習!

 

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ギボンスラックライン/ heavy. / rocks climbing gym

 

プロフィール:

1984年岡山県生まれ。

サッカーのコーチでもある父親に手ほどきを受けながら、サッカーではなく、スラックラインで才能を開花。大学卒業後のスラックラインで2013年にワールドカップで優勝する。

世界では“GAPPAI”のニックネームで知られ、国内外、実力名実ともに日本を始め、世界を代表するライダーの一人。

 

好きな食べ物/うどん

好きな言葉/精神一到何事か成らざらん

 

主な大会成績:

 

国内大会

2015年05月16日  GIBBON CUP, TOKYO 二子玉川ライズ : 優勝

2014年10月25日  GIBBON CUP, NAGANO 小布施 : 優勝

2014年09月20日  GIBBON Festival, FUKUSHIMA : 準優勝

2014年08月02日  GIBBON CUP, KOCHI 四万十 : 優勝

2014年05月04日  GIBBON CUP, TOKYO 二子玉川ライズ : 優勝

2013年08月24日  GIBBON CUP, KOCHI 四万十 : 優勝

2013年07月14日  GIBBON CUP, FUKUOKA 春日公園 : 優勝

2013年05月04日  GIBBON CUP, TOKYO 二子玉川ライズ : 優勝

2012年09月30日  第3回日本オープンスラックライン選手権大会, TOKYO 二子玉川ライズ : 優勝

2012年02月15日  GIBBON CUP第2戦, YOKHAMA SBJ18&SKIEXPO : 優勝

2012年02月14日  GIBBON CUP第1戦, YOKHAMA SBJ18&SKIEXPO : 優勝

2011年09月24日  第2回日本オープンスラックライン選手権大会, TOKYO 浅草ROX : 優勝

2010年10月24日  第1回日本オープンスラックライン選手権大会, TOKYO 豊洲 : 準優勝

 

国際大会

2014年07月06日 GLOBETROTTER SLACKLINE WORLDCUP, MUNICH : 4位

2014年06月22日 WORLD CHAMPIONSHIPS at Central Park, NYC : Finalist

2013年10月17日  SLACKLINE WORLD CUP at LAS VEGAS : 3位

2013年06月22日  STRIDE SLACKLINE JAM at DEW TOUR in ,SAN FRANCISCO,CA : 3位

2013年06月30日  SLACKLINE WORLD CUP at HOOPFEST in SPOKANE,WA : 優勝

2013年06月22日  STRIDE SLACKLINE JAM at DEW TOUR in OCEAN CITY,MD : 3位 

2013年06月06日    WORLD CHAMPIONSHIPS at GOPRO MOUNTAIN GAMES,VAIL,CO : Finalist

2012年11月11日  SLACKLINE WORLD CHAMPIONSHIP at SKI & SNOWBOAD EXPO,BOSTON,MA : 4位

2012年10月21日  STRIDE SLACKLINE OPEN at DEW TOUR,SAN FRANCISCO,CA : 準優勝

2012年07月14日  GIBBON SLACKLINES OUTDOOR OPEN, FRIEDRICHSHAFEN : 準優勝
2012年07月01日  SLACKLINE WORLD CUP, MUNICH : 4位2012年06月03日  GIBBON GAMES at TEVA MOUNTAEIN GAMES,VAIL,CO : 準優勝

2011年07月16日  OUTDOOR, FRIEDRICHSHAFEN : 4位

2010年12月 GIBBON KING OF SLACKLINE 2010: 優勝